日帰り 内視鏡下鼻・副鼻腔手術を 安心してうけていただくために

  おひさま耳鼻咽喉科 の 工夫 

 
                                                         2015年9月13日

   この10月 開業から 6年を迎えさせていただきます。
   
   これにあたり 当院でおこなっている日帰り内視鏡手術と工夫を ご理解いただき 

   安心して手術をうけていただくための 解説を作成いたしました。
  

   当院では、外来診療システムのモニタ類を用いて 手術をおこなっております。

   導入機器や滅菌器具、スタッフのレベルは 病院とかわらないと自負しております。

   唯一 外来診療用の椅子を使うことで 患者さまに窮屈なご負担をおかけしておりました。

   2015年春、赤十字献血センターで採用されているものと同じタイプの外来用電動ベッドを導入いたしました。

   これにより、居心地のよさが加わり よりご満足いただける内容を 提供できるようになったと感じております。



  内視鏡システムやシェーバー、生体モニタ、吸引器
  
  感染症対策に必須のガス滅菌器 を 手術用に導入いたしております。
   

クリニックで日帰り手術を受けていただく利点は

提供する医師にとっては 

トラブルを起こさないこと、ハプニングに対する入念な対策が重要となります。

病院で多数の手術をおこなっていた経験豊富な医師が

開業後メスを手放してしまうことが 多い理由は 

このリスクを避けるためと 感じております。

私は あえて リスクにチャレンジすることにより

日々工夫を重ねる生き甲斐 と 診療の充実感をいただいております。
 
    
  
 安全安心のために 積み重ねてきた工夫の内容 は 以下の通りです。
      

 次に 術前から術後まで 工夫の内容を 具体的に 説明させていただきます。
      
   鼻腔と副鼻腔の換気をブロックする病変(ポリープや粘膜のむくみ)の存在が 
   
   副鼻腔炎の発症につながることをご理解いただきます。

   正常例とご自分の検査所見比較して 病状をご理解いただきます。



 手術では この病変を切除することで 鼻副鼻腔の換気を回復することが 目的であることを ご説明

 術前と 術後の所見を ご覧いただきます。




  実際の手術動画をご覧いただき 手術の内容を ご理解いただきます。

    1 ポリープやむくんだ粘膜を吸引式の回転カッター(シェーバー又はデブリッダー)で切除

    2 鼻腔と副鼻腔の隔壁骨を メスや鉗子類で切除し 副鼻腔への交通を広く確保

    3 副鼻腔の病変(汚れやむくんだ粘膜)を 清掃

    4 止血点を電気メスで焼灼し 止血綿(ソーブサン)を創面に留置

    5 鼻粘膜同士の癒着防止に 入口部へ抗生剤軟膏を塗布したベスキチンガーゼを留置


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    さらに 実際の手術記録を 印刷して お渡ししております。


 
 手術をご希望いただくと 術前検査と同時に手術同意書の説明を させていただきます。

 検査項目と 安全のための 確認事項は 以下の通りです。

 特に 注意が必要なのは 喘息発作の誘発(ポリープがある方は喘息要素を伴うことが多いため)
   


局所麻酔では 手術の痛みに対する恐怖 緊張 が 必ず伴います。

これを いかに クリアするかが 一番の課題と 考え 以下の対策を ご説明しております。


鼻内の鎮痛は ボスミン(血管収縮剤)キシロカイン(局所麻酔薬)を浸したガーゼを 

顕微鏡下に数回に分けて丁寧に留置することで 十分対応できていると感じております。

鎮痛目的には 術前の鎮痛剤(ロピオン)点滴 手術時の局所麻酔注射 も おこなっております。


手術の直前には 緊張で 心拍と血圧の上昇が ほぼ必ず伴います。

迷走神経反射の予防薬、 気分をリラックスさせる薬、緊張に伴う頻脈を改善させる薬を準備し オンタイムで使用。

心の緊張と 循環系の緊張が 改善したことを 確認後 手術操作を開始させていただいております。

私は 手術とともに 麻酔が大好きでした(麻酔科医になりたいと思ったこともあります)ので 

心と身体の緊張を 薬剤でコントロールする麻酔

耳鼻科医としての手術 

その二つを 日帰り手術をおこなうことで 実践させていただけることに感謝しております。



術後当日から翌日までに もっとも注意が必要なのは出血です。

出血の要因は 不安緊張にともなう血圧上昇 頻脈 と 痛みと考えられます。

当院では 以下の 術後自己チェック表をお渡しして

ご自分の術後状態を冷静に把握していただいております。

夕方5時 当院ナースから直接お電話で病状の確認をさせていただいております。

その時点で 出血があり 追加止血操作が必要と判断されれば クリニックで処置対応させていただきます

鎮痛剤は 痛みを感じる前から 予防的な服用をお願いしております。

また 不安な気持ちを抑えて ゆっくりお休みいただくため 眠前に安定剤服用をお願いしております。


       

幸い 

1  出血点を確実に焼灼止血 

2  創部をソーブサンで充填 

3  さらに ベスキチンガーゼを入り口へ留置する

現在の パターンにしてから 術後出血が ほとんどありません。

(ただし 気を抜かないことも 重用だと 考えております)

手術日から 術後までのことで 患者さまにご了承いただく内容は 以下の通りです。


  術後の再診予定は 以下の通りです。

  手術日が火曜の場合はそれぞれ 水曜 金曜 次の金曜 その二週間後の金曜となります

  初回  術後1日   (出血の確認)

  2回目 術後3日   (ベスキチンガーゼ抜去 出血があればソーブサンを少々追加)

  3回目 術後10日   ソーブサンを吸引清掃

  4回目 術後24日   確認と清掃少々



 約一年前から 2−3週間 綿栓の継続を お願いし始めました。

 それまでは 綿栓はベスキチンを抜去する3日目あたりで終了。

 その後 鼻洗浄や 麻酔ガーゼを留置した積極的な清掃処置をおこなっていましたが

 入口部粘膜の 壊死や 癒着など やっかいな問題に 悩ませられました。


 この問題は 病院では あまり 感じておりませんでした。

 その違いは何か? と 考えたとき 

 病院では 術後 10日ほど入院  その間 ずっと綿球をしていただいていたことに思い当たりました。

 綿球は 鼻からにじみ出る血液や浸出液を吸収するのみと 考えておりましたが、

 鼻内の乾燥を防ぎ 湿潤環境を保つ という 重要な役割があることに 気づきました。


 以前は 術後 綺麗になるまで 最低1〜2ヶ月程度と ご説明しておりましたが

 綿栓を継続していただくようになってから 術後10日から14日で かなり綺麗に仕上がるようになっています。
 



綿栓を 早々に外したいと 感じる患者さまも 少なくありませんが

速く綺麗に仕上がる 一番の秘訣として お願いさせていただいております。


以上 2015年9月時点で 当院でおこなっている 内容を説明させていただきました。

今後も 常に 細かい不具合を確認するたびに 改善をおこなってゆきたいと考えております。




(CTによるシミュレーションと 糸付きスポンジによる後鼻孔パッキングは 術者にとって重用ですが

 患者さまへの説明では 話が複雑になり不要と判断し 省かせていただきました ご了承くださいませ。)